法人として古物商許可を取得する際には、定款に「古物営業」に関する記載が必要です。
この記事では、定款に古物営業を記載する上での具体例や注意点、現在の定款の確認方法、変更手続きの流れについて解説します。
法人として古物商許可を取得する際に押さえておくべき重要なポイントを理解し、スムーズに申請を進めましょう。
法人で古物商許可を取得する場合、定款の事業目的に「古物営業」の記載が必要です
法人が古物商許可を取得するには、定款の事業目的に「古物営業」に関する記載が含まれていることが必須です。申請時には、定款の写し(コピー)を提出し、事業目的に「古物営業法に基づく古物商」などの文言が含まれていることが確認されます。
現在の事業目的を確認する方法
現在の定款の事業目的は、下記の方法で確認することが可能です。
事業目的の確認方法
- 定款を確認する
事業目的は、定款の冒頭に記載されていることが多いです。定款は、会社設立時に作成され、法務局での登記の際に提出されています。過去に事業目的の変更が行われている場合があるため、最新の定款を確認する必要があります。 - 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)で確認する
定款の最新情報は、法務局で登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取得することで確認できます。また、登記情報提供サービスを利用することで、オンラインでの確認も可能です。
古物営業の事業目的の具体例
事業目的の記載内容は、古物営業全般を幅広く包括する表現にするか、取り扱いを予定している特定の古物商材に絞った具体的な内容にするかで異なります。ここでは、それぞれの具体例と注意点を解説します。
古物営業全般を包括する記載例
古物営業全般を包括する事業目的の記載例は、幅広い古物の取扱いを可能にします。特定の商材に限定せず、様々な中古品や古物を取り扱う予定のある法人に適しています。
記載例:
「古物営業法に基づく古物商」
「古物の買取および販売」
「中古品の売買、輸出入および管理」など
これらの文言を事業目的に記載することで、複数のカテゴリーの古物を取り扱うことができます。幅広い業務展開が可能となるため、事業の変更や拡大が見込まれる場合には、包括的な表現を使用するのが適しています。
注意点:
幅広い古物取引を行う場合、許可申請時に古物営業の詳細について説明を求められる場合があります。具体的な事業内容を充分に検討したうえで記載内容を決定しましょう。
古物の商材ごとの具体的な記載例
特定の商材に絞って具体的な内容を記載することも可能です。
記載例:
「古本、書籍の買取および販売」
「中古自動車の買取および販売」
「中古家電製品の買取および販売」
「電化製品の修理、リサイクルおよび販売」
「宝石、貴金属、時計の買取および販売」 など
これらのように、取り扱う特定の商材に絞った事業目的の記載も可能です。
注意点:
事業目的に特定の古物商材のみを記載した場合、それ以外の古物を取り扱うことができなくなります。例えば、「中古自動車の買取および販売」と記載している場合、中古家電や古本などの取引を行うことはできません。将来的に他の商材も扱う可能性がある場合は、事業目的の記載を広めに設定しておく方が良いでしょう。
事業目的の変更手続きとその流れ
定款の事業目的に古物営業の記載がない場合は、定款の変更手続きが必要です。変更手続きには株主総会の開催や法務局での変更登記が含まれます。
事業目的の追加手続きの流れ
定款に事業目的を追加する場合は、株主総会での特別決議が必要になります。そのうえで、登記変更も必要となります。以下はその流れです。
株主総会の開催
事業目的を追加するためには、株主総会での特別決議が必要です。事前に議案を作成し、株主に通知します。
定款変更の決議
株主総会で議決を行い、定款の変更が承認されれば、新しい事業目的を追加します。議決には出席株主の3分の2以上の賛成が必要です。株主総会の議事録を作成する必要もあります。
法務局での変更登記申請
定款変更後、法務局での登記申請を行います。この際、変更内容に関する申請書類と手数料が必要です。
定款変更に必要な費用と期間
定款変更にかかる法定費用は、登録免許税として3万円が必要です。その他、専門家に依頼する場合は、書類作成などに費用がかかります。なお、定款変更の手続きは、株主総会の開催から法務局での手続き完了まで、約1〜2週間かかります。
定款の変更前に古物商許可申請は可能か?
事業目的に「古物営業」に関する記載が含まれていない場合、定款の変更手続を行った後に、古物商許可申請を行うのが一般的です。
ただし、許可申請を早く進めたい場合、定款変更を行う旨の「確認書」を提出することで、古物商許可申請を先行して進めることが可能です。
確認書とは?
確認書とは、「定款を変更し、事業目的に古物営業に関する内容を追加します」という約束を記した書面です。代表取締役の署名捺印が必要です。
確認書を提出するメリットは?
確認書を提出することで、古物商許可申請を一旦受理してもらい、早期に審査に入ることができます。ただし、申請後は、速やかに定款変更手続きを行い、変更後の定款、登記簿謄本を追加で提出する必要があります。
各都道府県によって警察署の対応が異なる場合があるため、まずは管轄の警察署にて相談をしましょう。
古物商許可申請に必要な定款の提出方法(原本証明)
古物商許可申請時には、定款のコピーに「原本証明」を行い、提出します。「原本証明」とは、コピーが正しく原本と同じ内容であることを証明するものです。原本証明がない場合、申請が受理されないこともあるため、注意が必要です。
原本証明の作成方法
定款をコピーする
会社設立後、定款の内容を一度も変更していない場合は「原始定款」、定款の内容を変更している場合は「現行定款」をコピーします。電子定款の場合はデータをプリントアウトします。
最終ページに原本証明文を記載し、押印する
定款のコピーの最終ページに、「この定款の写しは、原本と相違ございません」という証明文を記載し、代表印を押印します。
装丁して、契印する
【ホチキス止めの場合】
左側の用紙の端を2カ所または3箇所ホッチキスで留め、全ての綴じ目に契印(代表印)を押します。
【製本の場合】
製本テープで製本し、表紙か裏表紙のどちらかに契印(代表印)を押します。押す位置は、製本テープと用紙にまたがる位置です。
このように証明文を記載し、押印を行うことで、原本証明が完成します。
まとめ
この記事のまとめ
- 法人で古物商許可を取得する際は、定款の事業目的に「古物営業」に関する記載が必要です。
- 事業の方向性に合わせて記載内容は検討しましょう。
- 定款の変更には、株主総会の決議と法務局での登記申請が必要です。
- 定款の変更が完了していない場合でも、確認書を提出することで古物商許可申請を先行して行うことが可能です。
これらのポイントを押さえて、法人で古物商許可を取得する際は、定款の内容を適切に整備し、スムーズな許可取得を目指しましょう。
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