
小規模事業者持続化補助金(第17回)の公募要領が公開されました。
小規模事業者持続化補助金は、経営計画の策定に重点を置くために、これまで設けられていた特別枠が整理され、「卒業枠」および「後継者支援枠」は廃止となりました。
一方、「賃金引上げ枠」「インボイス特例」は一般型の特別枠に組み込まれ、「創業枠」は「創業型」として独立しています。
また、「共同・協業型」「ビジネスコミュニティ型」が新設されることになります。
なお、今回の公表は暫定の内容となっています。
この記事では、小規模事業者持続化補助金の基本情報と今回公表された(第17回)における変更点についてまとめます。
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金(以下持続化補助金)とは、商工会・商工会議所当などと一体となって経営計画を作成し、販路開拓などに取り組む小規模事業者を支援する補助金です。
持続化補助金には、「一般型」「創業型」「共同・協業型」「ビジネスコミュニティ型」が設けられており、「一般型」には、補助金が拡充される「インボイス特例」や「賃金引上げ特例」などの特例も設定されています。
こんな事業者におすすめ!
- 新しいお店や商品、サービスを宣伝したい
- 新しい商品やサービスの開発をしたい
- 売上を拡大するための設備を導入したい など
→販路を開拓したい事業者におすすめ!
申請類型一覧
類型 | 対象 | |
一般型 | 通常枠 | 経営計画を作成し販路開拓等に取り組む小規模事業者を支援 |
インボイス特例 | 免税事業者から課税事業者に転換する事業者を支援 | |
賃金引上げ特例 | 事業場内最低賃金を50円以上引き上げる小規模事業者を支援 | |
創業型 | 産競法に基づく「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者を支援 | |
共同・協業型 | 地域に根付いた企業の販路開拓を支援する機関が地域振興等機関となり、参画事業者である10以上の小規模事業者の販路開拓を支援 | |
ビジネスコミュニティ型 | 商工会・商工会議所の内部組織等(青年部、女性部等)を支援 |
補助率・補助上限額(一般型・創業型)
各申請類型ごとの補助率・補助上限額は以下の通りです。
申請類型 | 補助上限 | 補助率 | 対象経費 | |
一般型 | 通常枠 | 50万円 | 2/3 ※賃金引上げ特例を選択した”赤字事業者”は3/4 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費(税理士等への相談・コンサルティング費用など) |
インボイス特例 | 50万円上乗せ | |||
賃金引上げ特例 | 150万円上乗せ | |||
創業型 | 200万円 (インボイス特例は適用可) |
直近5回の申請状況と採択率
持続化補助金制度全体の直近5回の申請状況と採択率は以下の通りです。
公募回 | 申請締切日 | 採択発表日 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|---|---|---|
第12回 | 2023年6月1日 | 2023年8月23日 | 13,373 | 7,438 | 55.6% |
第13回 | 2023年9月7日 | 2023年11月27日 | 15,308 | 8,729 | 57.0% |
第14回 | 2023年12月12日 | 2024年3月4日 | 13,597 | 8,497 | 62.5% |
第15回 | 2024年3月14日 | 2024年6月5日 | 13,336 | 5,580 | 41.8% |
第16回 | 2024年5月27日 | 2024年8月8日 | 7,371 | 2,741 | 37.2% |
申請スケジュール
第17回 持続化補助金 | 申請受付開始 | 2025年5月1日(木) |
申請受付締切 | 2025年6月13日(金) | |
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 | 2025年6月3日(火) | |
交付決定予定 | 2025年8月頃 |
※弊所での受付期間は、申請までの日数や現在のご依頼状況によって判断いたします。
すでに受付期間が終了している場合もございますのでご了承下さい。
小規模事業者持続化補助金の流れ
小規模事業者持続化補助金の流れは以下の通りです。
補助事業の流れの詳細はこちらをクリック
①事前準備 : 補助金申請に向けて事業計画を立案する(目安:申請締切から2か月以上前が理想)
※GビスID取得、市場分析、競合分析、自社の経営状況の正確な把握、事業計画書の立案、作成等
※管轄の商工会議所、商工会に「事業支援計画書」を依頼
②補助金申請 : 補助事業計画書を提出する
※提出は原則、電子申請または郵送で行う
※事業計画書や申請事業者の証明書類等申請書類を提出
採択通知(補助金交付候補決定通知)(目安:申請締切から2か月後)
⓷見積書等の提出 : 入手価格の妥当性を証明できる見積書等を提出
交付決定通知(目安:申請締切から3か月後)
④補助事業の実施 : 事業計画書に沿って補助事業を実施する(目安:採択発表から6~8か月間程度)
※期間中に発注~納品~支払いまですべて完了させる必要がある
※計画に変更が発生する場合は事前の報告が必要となる
⑤実績報告 : 補助事業完了後に実績報告を行う。
※「実績報告書」および経費支払いの「証拠書類」の提出を行う。
補助金交付額の確定 : 実績報告に問題が無ければ「補助金確定通知書」が通知される(目安:実績報告から1~2か月後)
⑥補助金の請求 : 補助金精算払の請求書を提出する
⑦補助金振込 : 補助金清算払い請求書記載の振込先口座に補助金が振り込まれる(目安:補助金の請求から1~2か月後)
補助金清算払い請求書記載の振込先口座に補助金が振り込まれる。
⑧年次報告(事業化状況報告): 補助事業の取り組み状況を報告する(補助事業完了から1年後)
第17回公募からの主な変更点とは?
小規模事業者持続化補助金(第17回)からの主な変更点を以下にまとめます。
採択後に「見積書等」の提出が必要となった
第17回公募より、採択発表後交付決定までに、経費の価格の妥当性を証明できる見積書等(相見積もり含む)の提出が必要となりました。
第16回まで
見積書等の提出は「実績報告時」に必要
第17回以降
見積書等の提出は「採択発表後交付決定まで」に必要
採択後に、スムーズに補助事業を開始するためには、早めに見積書等の準備を進めておく必要があります。
補助対象経費の一部が対象外に
第17回公募より、これまで補助対象経費だった区分の一部が削除されています。
【補助対象経費】第16回まで
①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦資料購入費、⑧借料、⑨設備処分費、⑩委託・外注費
【補助対象経費】第17回以降
①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦借料、⑧委託・外注費
第16回公募まで補助対象経費だった「資料購入費」「設備処分費」が補助対象外となっています。
計画審査項目の一部変更
第17回公募より、採択審査における計画審査の項目が一部変更となっています。
【計画審査】第16回まで
【①自社の経営状況分析の妥当性】
・自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。
【 ②経営方針・目標と今後のプランの適切性】
・経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
・経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。
【③補助事業計画の有効性】
・補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
・販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
・補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
・補助事業計画には、ITを有効に活用する取組が見られるか。
【計画審査】第17回以降
【①自社の経営状況分析の妥当性】
・自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みや弱みも適切に把握しているか。
【 ②経営方針・目標と今後のプランの適切性】
・経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みや弱みを踏まえているか。
・経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)や顧客ニーズを捉えたものとなっているか。
【③補助事業計画の有効性】
・補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
・販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
・補助事業計画には、技術やノウハウ、アイディアに基づき、ターゲットとする顧客や市場にとって、新たな価値を生み出す商品、サービス、又はそれらの提供方法を有する取組等が見られるか。
・補助事業計画には、デジタル技術を有効的に活用する取組が見られるか。
自社における強みだけではなく、弱みを踏まえた事業計画が必要となります。
また、「小規模事業者ならではの創意工夫」については、より具体的な技術やノウハウ、ターゲット、新たな価値などの記載が必要となりそうです。
政策加点項目の追加
第17回公募より、政策加点項目が追加となっています。
【政策加点】第16回まで
①賃上げ加点
②パワーアップ型加点
⓷経営力向上計画加点
④事業承継加点
⑤過疎地域加点
⑥一般事業主行動計画策定加点
【政策加点】第17回以降
①賃金引上げ加点
②地方創生型加点 ※パワーアップ型加点の名称変更
⓷経営力向上計画加点
④事業承継加点
⑤過疎地域加点
⑥一般事業主行動計画策定加点
⑦後継者支援加点
⑧小規模事業者卒業加点
⑨事業継続力強化計画策定加点
第17回公募より、「⑦後継者支援加点」「⑧小規模事業者卒業加点」「⑨事業継続力強化計画策定加点」が追加されました。
詳細は公募要領をご確認ください。
詳細は下記の公募要領(暫定)を確認してください。
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